最近J-Waveで生放送されている某番組にハマっている。
放送は月~金、俺が普段行動を開始する時間帯の番組で、おっさんキャラとお嬢様キャラのパーソナリティの、噛み合っていないようでいてやっぱり噛み合っていない(あれ?)、でも他の組み合わせではもはや成り立たないんじゃないか?と思ってしまう微妙な感じがツボに入った。
番組は日替わりのテーマを中心に展開されているのだが、その多くを下ネタに強引に持っていこうとするおっさんキャラと、それをさらりとかわしたり、時にはバッサリ切り捨てるお嬢様キャラとの絶妙なやりとり、そして3時間半の生放送というある種耐久レース的な時間の中で、たまに番組終盤になるとややヤケクソ気味な調子になり、このまま行くと放送事故を起こしちゃうんじゃないか?とひやひやする緊張感を、その昔ラジオ少年だった俺のアンテナが高感度で受信しているのだろう。
かと言って誰かに「お薦め!」っていう程ではないんだけど、この番組を聴いてるひと時はあれこれ考えず、いつのまにか口角が上がってゆる~くなってる感じが心地良いのだ。
渋谷で公開生放送しているらしいので、今度何かのついでにでものぞいてみよっかな?
さて、そんな訳で前回のエッセイの後半です。
実はこの来日後に、「ボジオ、レヴィン、スティーヴンス」というユニットでの来日話が流れたり、一昨年には今回の“OUT TRIO”の公演が東京の某クラブで決まった…とテリーがある雑誌でコメントしていたのにも関わらず公演そのものが無くなったりと、この18年の間に来日の話がことごとく出ては消えていたし、何よりテリーの年齢的な事を考慮すると(あと2年で還暦ですよ!)、ひょっとするとこの先もう来日する事はないんじゃないか?と半ば諦めかけていた矢先の今回の吉報…知らされた時の嬉しさといったら…ねぇ!?
そんな長い時間と経緯とさまざまな思いが報われた、今回の「OUT TRIO」での来日。内容の方は、先に発売されていた旧友パトリック・オハーンが参加したバージョンのDVDよりも更に進化していて、ジャズ・ロックの新たな可能性をアプローチする面白いユニットだった。
曲自体はちょっと微妙なものもあり、連日観ないとなかなかその良さが伝わりにくいものも多かったが、トニー・ウィリアムスの「ライフタイム」の流れを汲みつつ、ザッパのエッセンスを取り入れ、テリーボジオと云う存在が放つオーラの圧倒的なパワーが生み出すパフォーマンスは半端じゃなく凄まじかった。
テクニックやグルーヴの素晴らしいドラマーは他に幾らでもいるけれど、そんな次元を超越して、その存在だけであれだけ魅せ、あれ程までに観衆を圧倒出来るドラマーは他にはいない!
そういえば、某音楽雑誌で「これで君もテリーになれる」と云う、ある意味テリーの存在価値に対する冒涜とも取れる様な内容の記事が掲載されていた。これには怒りを通り越して悲しい気持ちになってしまった。
それに比べ、テリーを表紙に掲載した某雑誌のインタビュー記事は、ページ数こそそんなに多くはなかったけれど本当に興味深く、彼に対するリスペクトも感じられる素晴らしいものであった。
18年前はミニチュアだったテリーも、今回は会場の大きさやチケット整理番号10番台前半ゲット!の甲斐もあり、右側ステージ袖の足元がよく見える一番前の席からカブリつきで観たり、左側の足元が見える席、そして勿論テリーの叩き方と云うよりは「舞い」が正面から見える席と、いろんな角度から納得のいくサイズで拝む事が出来た。
そしてもうひとつ、何より忘れられないのがテリー本人とのご対面だ。そう、ミニチュアではなく等身大だ。思っていた以上に身長が高く、それにとにかく足が長い(笑)。
この時の様子は一部ギャラリーにもアップしてあるけど、憧れ続けて来たテリーに直接会えると云う、本当に夢の様な体験をする事が出来た。
楽屋でリラックスしている実物のテリーは、インタビューやレクチャーの映像で見るよりもめちゃめちゃ物腰の柔らかいホントに穏やかな人で、とてもじゃないけどあんなに攻撃的なドラミングをする人物とは到底思えない程の紳士だった。
この対面の際、俺はあらかじめテリーにいくつかのプレゼントを用意していた。
まず、U.K.での来日時のパンフレット(これは俺がセンス・オブ・ワンダーをやっていた頃にファンの人から戴いたもの)と、前回の来日時のパンフレット。もし彼が持っていなかったら記念にプレゼントつもりだったのだが、「多分探せばあると思う!」って事で、直筆サイン付きで返品された(笑)。
次に渡したのが万年筆。そう、彼は実は万年筆のコレクターなのだ。以前から「テリーが来日したら日本製の万年筆をプレゼントする」と勝手に決めていたのだが、ついにそれが実現した。
ただあいにく俺にはそれに関する知識が殆どなく、小学生の頃に学研の付録だか全員プレゼントだかで貰ったものしか使った記憶がないので、とりあえず何軒かの専門店を訪ねた。
店員さん達に色々な話を聞いていくうちに、日本製にも優れた万年筆があり、世界的に有名なものもいくつかあるとの事。その中で、知名度はそれ程ないのだが、素晴らしい職人さんが多く集まっていて、日本ならではの精度を誇る某社の製品がいい!と云う話が圧倒的に多かったので、そのメーカーの中から選ぶ事にした。
万年筆もかなり奥が深く選ぶのにかなりの時間を費やしたが、その甲斐あってか、この贈り物をテリーは本当に喜んでくれた。さすがにコレクターを自負するだけあって、そのメーカーの事も知っていたし、偶然にも以前から興味を持っていたとの事で、何度も合掌しながら礼を云われた。じっくり選んだ甲斐があったってもんです。気に入って貰えて本当によかった。
そして最後にKENSOのアルバム『うつろいゆくもの』を手渡して、記念写真を一枚…。今考えると半ば現実とは思えない様な時間だった。
そういえばこの時楽屋に同行した、KENSOの小口さんは、テリーに挨拶した際に“I Love You!!!”と口にしていた。気持ちはわかりますよ、小口さん…(笑)。
そうそう、テリーといえば黒のタンク・トップに黒のスパッツとイメージがあるけど(人によっては上半身裸でビキニ・パンツ一丁を思い浮かべる人もいるよね!)、東京公演2日目の夜の部では、なんと「紅」(赤じゃないよ)のシャツを着てドラムを叩いていたんだよね。黒ではなく深紅なテリー…これがまた新鮮でカッコよかった。
ちなみにギャラリーの2ショットの写真で、パーカーの下に着ているのがこのシャツです(このパーカーには“Zappa Plays Zappa”のロゴが…マジで凄すぎ!)。
さて、肝心の演奏のクオリティだが、やはり回を増す毎に凄みを増していった。
もちろんどのステージの演奏もよかったのだが、ドラマーとして一番驚いたのが二日目の昼の部で、自分の事を「バディ・リッチ」だとジョーク交じりに紹介しながら洒落で叩いていた、テリーのレガートのスウィングっぷり!!!!! これは驚愕に値する程のものだった。
ぶっちゃけ、テリーのスウィングには微妙なイメージを持っていたんだけど、この時ライド・シンバル(っつーか、テリーの場合はクラッシュだけどネ)で刻んだスウィングは、紛れも無く彼のアイドルだったトニーの「あのレガート」そのものだったのだ。
たった数小節だけだったけれど、この時のレガートの高い芸術性と想像を絶するスウィングっぷりにはマジで鳥肌が立った。個人的には今回の演奏のどのパフォーマンスよりも、この数小節のレガートの中に、テリーの真骨頂を垣間見た気がする。
そうかと云えば、最終日の昼間に行われたドラム・クリニックで叩いたオープニングのドラム・ソロでは、逆に「え?」と目と耳を疑ったプレーがあった。
彼の得意とするオスティナートの中でも比較的シンプルなモチーフでソロを取っていたのだが、なんとその中でテリーがまさかの凡ミスを連発したのだ。「最近バンドばかりやっていたから…」と言い訳するテリー(笑)。テリーも人の子なんだな、とちょっと親しみを感じた瞬間だった。
こんなにテリー好きな俺だが、18年前の来日からしばらくして、仕事で必要に迫られ(シンプルで大人なプレーを要求されたりもするしね…)、あえてテリーのドラミングから離れた時期があった。
でも、そんな時間を経て、以前よりもテリーのプレーの意味や深さが見えるようになり、もっと彼のルーツを知りたいという思いが強くなった。
それまでも聴いていたトニーの参加作品をはじめとする彼のアイドルたちのプレーや、彼の好きなストラヴィンスキーや現代音楽などを聴いたり、彼の薦めていた心理学や建築関係の書物まで読んだ。ユングやフロイトに関する本は高校時代に読んでいたが、建築の本は正直きつかった(笑)。でも彼の今のセットのラック・デザインはテリー自身によるもの。あの美しいオブジェ的なフォルムをみた時には、そういう事だったのか!と納得させられた。
こういうさかのぼった探求で最も面白かったのが、数年前に発売されたアメリカのTV番組、「エド・サリバンショー」にザ・ビートルズが出演した時の模様がノーカットで収録されたDVDだ。
なんとテリーはこの番組でリンゴ・スターを見たのがキッカケでドラムに目覚めたらしいのだ。そんな貴重な番組が、当時のCM付きで見られるというエクセレントなこの作品。当時のテリー少年の人生を変えたTV番組が見られると云うのは、とても感慨深いものだ。しかもこの番組が放送されたのが1964年…そう、俺が生まれた年なんだよね。
テリーに関するネタはまだまだ出てくるけど、ぼちぼち〆にします。ホントにキリが無い…(笑)。
最後に、ここまで書き綴ってきたので「もうわかったから!」、と誰かが突っ込みを入れそうだけど、テリー・ボジオと云うドラマーが俺に与えている影響は本当に大きなものなのです。
今回の来日公演で、連日テリーの一挙一動を見て感じて、本当に多くの力と勇気を貰った。個人的にはミッシング・パーソンズの頃までのテリーのサウンドやプレーが一番好きなのだが、今の彼のコマーシャルに走らずひたすら自分の信じた可能性を突き詰めて行く姿勢には本当に頭が下がるし、そしてやはり彼がドラムに向かってプレーする時の激しく優雅な美しさ、そしてあの存在価値というものは、他の誰にも真似出来るものではないと改めて痛感した。
このエナジーを糧にして、コモリズムもまだまだ進化し続けて行きます。
グルーヴやテクニックは勿論大切だけれど、最近の俺はそれがどうのと云う次元の向こう側にある、感性とオリジナリティの追求の域に入ろうとしているので、自分なりにボジオ・イズムを解釈し継承する部分も持ちながら、俺は俺で唯一無二のコモリズムを築いていけるように頑張って行くつもりです!
ドラムって本当に素晴らしい!
2007.4.25 今って春ですよね?