「ミッキーマウス、お好きなんですね!?(くすっ)」
先日病院で検査を終えた後、検査着から私服に着替えた俺を見た美人看護師さんがこう言った。
確かにその日はミッキーのトレーナーの上に、パーカーまで羽織っていたサ(あっ、一応誤解のない様に説明しておきますが、これはあくまでも戴きモノです)。勿論ミッキーが嫌いな訳ではないが、かと云って取り立てて好きって訳でもなく、まぁ少なくとも自分の年齢やキャラには合ってないよなぁ?くらいの自覚はあった。その上近所だからどんな格好だっていいじゃん!みたいな怠慢な感じがあったのも否めないけど、その日の俺の外出シナリオに、看護師さんが美人だって設定していなかったのはうかつだった。
看護師さんが美人だからと云って何か得をする訳でも無いし、検査が楽しくなる訳でもない。いやっ、なくもないか…。とにかくミッキーマウス好きと云うレッテルを貼られてはたまったものではないと思い、「本当はスヌーピー派なんです!」と答えておいた。
これはカルテで既に俺の年齢を知っているであろう看護師さんに、「さっきさぁ、40過ぎのオヤジがさぁ、ミッキーのさぁ…」などと話題に取り上げられても困ると思って口にした台詞なんだけど、今思えばミッキーもスヌーピーも五十歩百歩。どうせなら、子供の頃に好きだった「のらくろ」とか、思い切って「キティちゃん」とか言っとけばよかったかな?…と、どうでもいい悔いが残ったりもしたが、人命に関わる職場に、笑いのひとつでも提供出来たと思えば、まぁそれもよしとしよう!
さて、随分前のコラムで「花田少年史」と云うアニメについて触れた事がある。元々深夜枠でアニメ化されているのを観てから、そのストーリーの切なさとはかなさと面白さからすっかりハマってしまったのだが(これは本当に是非一度DVDを観るのをお勧めします!)、今は同じ漫画家の「ピアノの森」と云う作品にハマッている。
ストーリーに関してはこれから読む人の為にあえて触れないでおくが、実はKENSOのニューアルバム用に書き卸した小森曲は、この作品からインスパイアされた部分も少なからずあるのだ。
今回の曲作りに関して自分で掲げた大きなテーマは、「KENSOのドラマーとしてではなく、KENSOのコンポーザーとして創る、新生KENSOの為の作品」だ。KENSOはご存じ唯一無二のバンド。だから色々なセッションで演奏する為の作品ではなく、あくまでも「KENSOと云うバンドの為の…」と云う部分に何より強くこだわりたかった。
だがこの純粋な動機から掲げたテーマが、思い入れが強すぎた分、想像以上に大きな壁として自分の前に立ちはだかる事になってしまうのだった…。
リーダーの清水さんから、「小森君も是非一曲!」という有り難い司令を受けた瞬間から、アイディアは幾つも沸いていた。だが、快く引き受けたものの、KENSOのアルバムに曲を提供すると云う事は、普通に曲を創ると云う事とは訳が違うと云うのを痛感する事になる。KENSOと云うバンドはプレーは勿論の事、コンポーズ、アレンジに関しても「天才集団」なのである。
その事で多少怯んだのか、自分がKENSOに相応しい曲を書くには、アカデミックな部分が明かに欠けているのでは?と思い、毎日毎日曲のイメージが出来上がるまで、ひたすらヘッドホンでクラシック音楽を大音量で聴き続ける事にした。さらに車で出かける際には、いつも聴いている80年代某大物女性アイドルのCDを封印して、これまた大音量で現代音楽を聴いた。ちなみにこの車内のBGMにクラシック系の音楽っていうのは、小さい音だと思って安心して聴いていると、いきなりボリュームがデカクなったりしてマジで心臓に悪いので、お勧めしません!
普段はロックやジャズで呆けている俺の脳みそに、クラシック音楽と云うのは物凄く刺激的かつ、懐かしいものだった。しかもそれらをあえて理論抜きで自分で分析し、自分なりに昇華しようと云う強い研究心を持っていたので、聴き込み方も音量も半端じゃなかったからか、日に日に脳や身体が変化していくのが自分でもわかるという、不可思議な体験もした。
そうこうして行くうちに本来なら曲の方も出来上がって行く予定でいたのだが、逆に作曲の司令を受けた時点で抱いていたイメージや、既に昨年の内に出来上がっていたパートに対する否定的な概念が生まれて来てしまい、自分の創り出そうと思っていた音というのを完全に見失ってしまったのだ。そう、スランプへの突入だ。
だがそんな時、たまたま本屋で「ピアノの森」と出会った。この作品は、自分が子供の頃に習っていたピアノを弾くことが愉しくてしょうがなかった事や、音楽観賞の授業が大好きだった事、そしてFM番組でクラシックを毎日の様に聴いていた事など、音楽に純粋に感動していた記憶を鮮やかに蘇らせてくれた。
これをきっかけに迷いや雑念は消えて、「今の自分の中に流れる旋律や響きをそのまま表現すればいい!」というひとつの答えを出す事になったのだが、この境地に導いてくれたのが、この「ピアノの森」だったのだ。
あのタイミングでと云う事も勿論なのだが、この作品と出会っていなかったらと思うと正直ゾッとする。無理して「アカデミック」などというガラにもない部分を勉強しよう!と思わなければ、きっとこんな遠回りはしなかったんだろうけど、あくまでも自分の解釈でこういうものと向き合ってみるなんて事はなかなか思っても出来ない事だから、例えにわか仕込みで今回はうまく反映出来なかったとしても、自分にとってのこの「闘い」は物凄く貴重な経験になったと思う。
さて、曲に関してはいづれまた触れるとして、KENSOニューアルバムのドラム・パートのレコーディングが全て終了しました。他の全パートの録音が終了し、作品の全貌が見えた時点で、いろんな反省や悔いやアイディアも出てくるとは思うんだけど、限られた時間の中で今の自分がKENSOの為に出来る事は可能な限りやったつもりでいるし、このアルバムがリリースされる事で自分も真の意味でKENSOの一員となれる気がしているので、今から完成が愉しみだ。
前回のアップから約3か月も滞っていたコラム、やっと書けてちょっとホッとした。この3か月は、例えればちょっと夢見の悪い冬眠かな…(笑)。さぁ、いよいよ春ですね!遅ればせながら、2006年コモリズムもこれで全開モードです!!!
2006.4.1(Sat)
追記(1):作曲資料用にわざわざCDをセレクトして送ってくれたピアニスト「S氏」に感謝!!!
追記(2):今年のプロ野球はパ・リーグに注目しつつ、古田選手兼任監督と牛島監督の頑張りに期待してます。