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第32回 『凪~Calm~について』の章

2004.9.1 (水)

第25回のコラム、「凪~Calm~(意味はそのうち)」の続編を綴るタイミングがやってきました。
 
さてこの「凪」、既にご存じの方もいると思いますが、8/25に発売された榊原大ちゃんの3rdアルバム『As for You』の中に収録されている、小森曲のタイトルが「凪」なのです。ちなみに「凧」ではないので、くれぐれもお間違えの
ない様に…(笑)。
 

凪と云う言葉を初めて意識したのが19歳の時。青春時代を送った地に蔵王(山形のではないよ!)と云う山があるのだが、友達と夜中に満天の星を観にいった時の事、それまでそよいでいた風が止んだ瞬間に、「あっ、凪になった…」とつぶやいた友人の言葉が非常に印象的で、それ以来自分の中の「お気に入り単語帳」に追加していた。
 
この単語帳…実は当時の俺は、ハードロック・バンドのドラマー&ポエマーでもあったので、結構重宝していたのだ。ただハードロックの詞に「凪」と云う言葉はいまいちピンと来なかったので、使用は見合わせた…と云う経緯があった事を一応つけ加えておこう。
 

その後プロになってからは当然タイコと酒三昧で、いつの間にか作詞をする事もすっかり少なくなり(20代中盤で一曲だけ書いたけど)、ポエマー小森は成りを潜め、せいぜい曲のタイトルを考える時くらいしか「お気に入り単語帳」を開く事もなくなっていたのだが、実は今回榊原様より作曲の依頼を受けた時に最初に浮かんだのが、この「凪」と云う単語だったのだ。
 
大様(なんとなく「As for You」のフォトを見てたらこう呼びたくなった)からの依頼の内容は、「前作の流れを汲んだポップな感じ」と云うものだった。
 

野獣王国での「綺羅」、あれはまぁ簡単な部類だとしても、あの縦横無尽なテクニカル系超絶ベーシストの永井敏己氏をして「世界一難しい曲!」といわしめ、何人ものキーボディストを怒らせたり泣かしたりした「3trinkets」、「M-2」という作品を誕生させたと云う過去の実績からも、ポップさにはかなり定評のある俺…(おいおいっ!)。一枚目から、そして前作からは深く榊原作品に関わらせて貰っている俺には、すぐに彼の痒い所がピンゴ!で来たのだった。
 
コンポーザーの立場からすると、「凪」と云う曲はあまりにも単純なメロディーとコードから出来上がっているので、正直多少小っぱずかしい面もあるのだが(笑)、逆にここで小賢しいアイディアやアレンジをほどこしたりしたら、多分あの素朴さや切ないニュアンスは出なかったと思うんだ。
 
おそらく、普段散々ややこしさやひねくれ度合いに挑戦してはその都度うんざりしている自分が居て、でもそんな自分の中には、青春時代に体感した「凪」の響きや存在?を急に壊しちゃいけない!、と云う衝動に駆られたのかもしれない。
 
 事実最初のアレンジを詰める前の時点では、ギターの大橋君にレスポールのスイッチングでノイジーでクレイジーなアプローチやりつつ、骨太な音でガツーんとロックな感じにしてやってくれ!とかムチャクチャな事云ってたもんな・・・(笑)。

実際いろんなアプローチを試したりもしたし、あの素朴なメロディーにちょっとばかりヤキ入れてやって、社会の厳しさを教えてから世に出してやっか…みたいな感じのアレンジ?!も短時間でいっぱい試したが、結局あーゆータイプの曲はちょっとやそっとの事には動じないし、簡単にイメージを払拭し消し去る事なんて出来ないって事に気づいてしまった。
 
なぜならあの曲は、自分が音楽をやっていく上で一番大切にして来た「とある部分」から自然に引き出されたもので、多分ここを放棄してしまったら、俺は音楽をやらなくなってしまうから…。
 

だから俺はこの聖域を護らないと、楽器の演奏から音符の代わりにチャリーンと金の音しか出ない様なくだらない音楽とか、「癒し系」とされる右から左へ流れて行くだけの、ただのBGMになってしまう危険性があるからだ。あっ、いや、でもそれは無いな。だからこそ「凪」は軟弱な曲ではあるけど、簡単には壊せないどこか優しい強さが宿っているんだと思っている。以上が「凪」の自己分析…(笑)。
 

『As for You』もホントにいいアルバムに仕上がったね。これもひとえに俺のおかげ(笑)…うそうそ、大ちゃんの素晴らしい感性と音楽への深い愛の結晶だよ。
 

それにしても人生で初めて誰かの為に書いた曲が、まさか大様になるとは…。せめて「セカチュー」の廣瀬亜紀ちゃんに捧げたかったなぁ…。とりあえずそんな訳で、大様…「凪」は返却して下さいませ(笑)。
 
と云う事でもうすぐ『As for You 発売記念ブルーノート・ツアー』がはじまります。どんな曲をやるかみんなも楽しみでしょう!でもみんなの期待している「アレ」だけはやらないかもしんない…。やっぱ「アレ」だけはちょっとなぁ…(笑)。
 

ちなみに「凧」、もとい「凪」は多分レコーディングとは違うグルーブでやるつもり!乞うご期待!でわ…合掌!!!
 

追記:先日行われた約5年振りの『Stone Head』のライブは相当高いクオリティーのライブとなりました。石黒さん、和田さん、治郎ちゃんみんな本当にエクセレント!!ちなみに石黒さんの新曲はジャズでした!今後は変拍子の曲は書かないそうです。つってもきっとポリリズムの応酬になるんだろうから、あんまり変わらないけど(笑)。このライブは絶対来年も参加させてもらいたい!!!みんなも女子供だましじゃない本気の人達の音楽を聴きにおいでよ!!!

 
2004.9.1
 
残暑にこだわる夏って云うのを体感してみよっかな…。

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